中国貿易の繁忙期:12月から春節にかけての物流リスクと対策
こんにちは、中国貿易を長年手掛けている会社の社長です。
私は1997年に上海へ留学し、その後2004年に上海で貿易代理店を創業しました。
以来、日本企業向けの貿易業務を長年行い、中国のさまざまなメーカーから商材を調達し、日本にコンテナで送り届ける業務を担当しています。
中国貿易の年末繁忙期:物流が混乱するタイミング
12月から2月にかけては、中国との貿易を行う企業にとって、特に神経を使う時期です。
この時期は、日本・欧米・中国の主要なイベントが重なり、物流業界が非常に混乱します。
✅ 12月:欧米のクリスマス商戦 → 物流が急増し、船便予約が困難
✅ 1月:日本の正月休み → 日本側の業務が一時ストップ
✅ 1月末~2月:中国の春節(旧正月) → 中国の工場・物流が完全にストップ
この3つの要因が重なることで、物流の遅延が頻発し、貿易業務は通常よりもさらに慎重な対応が求められます。
1. 中国貿易の年末繁忙期の影響
① 物流混雑による出荷遅延
この時期の貿易で一番問題となるのは物流の混雑です。
特に12月は、欧米向けのクリスマス商戦の影響で、大量の荷物が世界中に出荷されます。
- 船便・航空便ともに予約が困難
- 船のスペースが不足し、予定よりも遅れることが多発
- コンテナ不足による輸送コストの上昇
さらに、日本の正月が明けると、今度は**中国の春節休み(1月末~2月)**が控えています。
この期間、中国の工場・物流は一斉にストップするため、出荷が完全に停止します。
そのため、12月から1月初旬までに輸出を完了させることが重要になります。
② 日本と中国の正月ズレによる業務の停滞
日本と中国の正月のズレは、貿易業務に大きな影響を与えます。
- 日本企業:1月1日から3日までの正月休み
- 中国企業:春節(旧正月)で約2週間の長期休暇(1月末~2月)
このズレにより、日本の正月明けに貿易業務を再開しようとしても、中国はこれから休みに入るため、仕事が進まないという問題が発生します。
結果として、春節明けの3月頃まで物流の混乱が続くことになります。
2. 繁忙期の貿易リスクを回避するための対策
この時期の貿易をスムーズに進めるためには、事前の計画とリスク管理が重要です。
① 早めの出荷計画を立てる
- 12月初旬までにできるだけ多くの出荷を完了させる
- 船便・航空便の予約は、通常よりも早めに確保する(最低3~4週間前)
- 中国の春節前の出荷スケジュールを確認し、ギリギリのオーダーを避ける
② 物流業者との密な連携
- 複数の物流業者と連携し、代替ルートを確保する
- コンテナスペースの確保を優先し、余裕を持ったスケジュールを組む
- 物流の最新情報を常にチェックし、遅延リスクを把握する
③ 在庫管理の強化
- 日本側で一定の在庫を確保し、物流遅延による欠品を防ぐ
- 長納期商品は9月~11月の間に前倒しで発注しておく
④ 緊急輸送手段の確保
- 急ぎの案件は、船便ではなく航空便を利用(コストは高いが確実)
- 中国国内の物流センターを活用し、春節明けすぐに出荷できる体制を作る
3. まとめ
中国貿易を長年手掛けている私としても、12月~2月は一年で最も神経を使う時期です。
特に、欧米のクリスマス商戦、日本の正月、中国の春節が重なることで、物流業界が混乱します。
この時期の貿易リスクを回避するポイント
✅ 12月初旬までに出荷を完了する(特に春節前の案件は早めの対応が必須)
✅ 船便・航空便の予約を早めに確保し、代替ルートも考慮する
✅ 中国の春節スケジュールを確認し、発注・生産を前倒しで行う
✅ 物流遅延を想定し、日本側の在庫を強化する
この時期に貿易を行う企業は、事前の計画とリスク管理を徹底することが不可欠です。
適切な対応を行えば、物流の混乱を最小限に抑え、スムーズな貿易業務を進めることが可能になります。
これからも、中国貿易の現場から、リアルな情報を発信していきます!